日本の寝具「ふとん」は、万葉集、日本書紀などにも登場します。
古事記には「タタミを敷いて寝る」という表現があります。
当時の「タタミ」は今の畳とは違い、ゴザ、ムシロ、コモのようなもので、寝具として使われていたようです。
清少納言や紫式部が活躍した平安時代中期には、貴族の寝所といえば、柔らかい絹のふとんを想像しますが、ところが、いかにも固そうなところで眠っていたのです。板の床の上に高さ六〇?ほどの木の台を置いて枠組みを作り、その上に絹などでできた御帳をたらしたところが上流階級の寝所でした。
道元禅師の「正法眼蔵」(一二五五年)の座弾儀の中に「蒲団」という語句が出てきており、「ふとん」のことを「蒲団」と書くようになった最初のものといわれています。
江戸時代、寝具の発展に寄与したのは遊廓でした。遊廓にはこの世界特有のしきたりがあり、とくに遊女の格については、厳しい差別が伴うものでした。
そして、この格差を端的に表すものが「寝道具」、なかでも敷きふとんだったそうで、その枚数が多いほど格が高かったといわれています。
寝具について、そのルーツを知ることはむずかしいことですが、いまの形のふとんとして一般に使われるようになったのは江戸時代末になってからといわれています。
現在の寝具選びはそれぞれのライフスタイルに合わせて考える時代です。 |